越後平野を見渡す高台に位置するこの宿は、四季折々に表情を変える自然と、日本の美意識が織りなす、静謐で格調高い空間として知られています。
館内へ一歩足を踏み入れると、広がるのはゆとりある設えと、洗練された和の意匠。大きく取られた窓の先には、どこまでも続く田園風景と空の移ろいが広がり、訪れる人を日常から切り離すように、穏やかな時間へと誘います。
この地を象徴するのが、“エメラルドグリーン”に輝く硫黄泉。
国内でも有数の硫黄含有量を誇る湯は、柔らかな肌触りとともに、深い癒しをもたらします。開放感あふれる大浴場や庭園露天風呂では、自然と一体となるような湯浴みのひとときを楽しむことができます。
また、客室や館内の随所には、訪れる人の感性に寄り添う設計が施されており、光、空間、静けさが調和することで、滞在そのものが一つの体験として完成されています。新潟の旬を活かした料理とともに過ごす時間は、単なる宿泊を超え、“記憶に残る滞在”へと昇華されていきます。
近年では、新潟駅からのアクセス向上や国際線の拡充を背景に、海外からのゲストも増加。国内外を問わず、多様な人々が訪れる越後を代表する旅館として、その存在感を高めています。
その一方で、言語や文化の異なるゲストを迎える中で、より質の高いおもてなしをどう実現するか――新たな課題にも向き合うこととなりました。
近年、訪日観光の回復とともに、新潟・月岡温泉にも海外からのゲストが訪れる機会が増えてきました。
もともとこの地域は国内のお客様が中心でしたが、新潟空港の国際線拡充や、主要観光地から地方へと足を伸ばす旅行者の増加により、韓国や台湾をはじめとしたインバウンド需要が徐々に高まりつつあります。
これまで数%だった外国人宿泊比率も、日々の運営の中で確かな変化として感じられるようになってきました。
その一方で、現場では大きな課題に直面していました。
「言葉が通じない」という、シンプルでありながら根本的な壁です。
チェックインなどの定型的なやり取りは対応できるものの、
・予約内容の確認や変更
・館内やサービスのご案内
・体調不良やトラブル時の対応
といった場面では、細かなニュアンスを含めた意思疎通が難しくなるケースが少なくありませんでした。
特に現場が感じていたのは、「本来の接客ができていないのではないか」という葛藤です。日本のお客様には丁寧に伝えられる内容も、言語の制約によってどうしても簡略化されてしまう。その結果、提供できる体験に差が生まれてしまうのではないかという違和感がありました。
さらに、クレームや体調不良といった重要な場面では、「正しく理解し、正しく伝えられているのか」という不安も伴います。こうした状況の中で、スタッフは無意識に身構え、コミュニケーションそのものに壁が生まれてしまうことも課題でした。
こうした背景から検討されたのが、リアルタイムで会話内容を字幕・翻訳を表示する「VUEVO Display」です。会話の流れを止めることなく、お互いの言葉をその場で理解できる環境をつくること。それは単なる効率化ではなく、「すべてのお客様に同じ体験を提供する」ための取り組みでもあります。
きっかけは、Web上で偶然目にした案内でした。インバウンド対応の必要性を感じる中で情報収集を進めていた際に、「リアルタイムで会話を翻訳・表示できる」という特徴に興味を持ったのが最初です。当時は、スマートフォンの翻訳アプリなどを使いながら対応していましたが、実際の運用では課題も多くありました。
翻訳に時間がかかることで会話が途切れてしまうことや、画面を見せ合う形になるため、どうしても接客の流れが分断されてしまう。また、長い文章や細かなニュアンスを伝えるのが難しく、「伝えきれない」「正しく伝わっているか分からない」という不安が常に残っていました。
そうした中でVUEVO Displayの存在を知り、実際にデモを体験した際に感じたのは、“会話が途切れない”ことの価値でした。話した内容がそのままリアルタイムで可視化され、相手の言語に翻訳される。これまでのように一度立ち止まって翻訳する必要がなく、自然な会話の流れのままコミュニケーションが成立することに、大きな可能性を感じました。
さらに印象的だったのは、対面で同じ画面を見ながら会話ができる点です。スマートフォンとは異なり、カウンター越しでも互いに内容を確認できるため、“向き合った接客”を崩さずにコミュニケーションが取れることは、旅館のスタイルとも非常に相性が良いと感じました。
また、透明なディスプレイというデザイン性も決め手の一つでした。館内の落ち着いた空間に違和感なく溶け込み、既存の雰囲気を損なわないことも重要なポイントでした。
最終的にはトライアルを実施し、実際の接客の中でその有効性を確認。特に、想定外の質問やトラブル対応の場面で、「伝わる」ことの安心感が現場の負担を大きく軽減することを実感しました。こうした評価を踏まえ、VUEVO Displayの導入を決定しました。
VUEVO Displayを導入してまず感じたのは、外国のお客様への対応に対する心理的なハードルが大きく下がったという点でした。これまでは、言葉が通じないかもしれないという不安から、どこか身構えてしまう場面も少なくありませんでしたが、今は「これがあれば大丈夫」と思える安心感があります。
特に変化を感じたのは、チェックインやご案内の質です。以前はどうしても説明が簡略化されてしまい、日本のお客様にお伝えしている内容をそのままご案内することが難しい場面もありました。しかし、リアルタイムで翻訳が表示されることで、細かな説明や補足までしっかり伝えられるようになり、日本のお客様と同様の内容を、しっかり伝えられるようになったと感じています。
また、お客様側の反応も大きく変わりました。翻訳された内容をその場で確認できることで、「ちゃんと理解できた」という安心感につながり、表情が和らぐ瞬間が増えたように思います。これまでは遠慮されていたようなご質問やご相談も、自然にいただけるようになり、コミュニケーションのキャッチボールが生まれるようになりました。
さらに、トラブル対応の場面でも大きな効果を感じています。体調不良やお部屋に関するご要望など、正確な意思疎通が求められる場面でも、内容をしっかりと言葉として共有できることで、誤解を防ぎ、スムーズな対応が可能になりました。
結果として、スタッフは自信を持ってお客様と向き合えるようになり、お客様にとっても安心して滞在いただける環境が整ったと感じています。言葉の壁によって生まれていた距離がなくなり、“同じお客様として向き合える状態”を実現できたことが、最も大きな変化です。
フロント課主任の三浦様からは以下のような声をもらいました。
実際に現場で対応するスタッフからは、導入後の変化を実感する声が多く上がっています。
「これまでは、外国のお客様がいらっしゃると、どこか身構えてしまう自分がいました。言葉が通じるか分からない中での対応は不安も大きく、どうしても簡略化でのご案内になってしまっていたと思います。」
「ですが、VUEVO Displayを使うようになってからは、その不安が大きく軽減されました。伝えたいことがしっかり伝わる安心感があり、『ちゃんと伝わった』という手応えを持てるようになりました。お客様の表情が和らぐ瞬間を見ることも増え、その場で“通じた”ことを実感できるのが大きいです。」
さらに、トラブルやイレギュラーな対応においても、その効果は大きいといいます。
「体調不良やご要望など、正確な意思疎通が求められる場面でも、内容をしっかり理解できることで、落ち着いて対応できるようになりました。誤解なく伝わる安心感があるので、対応の質も安定していると感じます。」
こうした声からも、VUEVO Displayは単なる翻訳ツールではなく、スタッフの不安を取り除き、接客の質そのものを支える存在であり、“言葉の壁によって生まれていた距離”をなくすための役割を担っています。