【導入事例:プライベートケアクリニック東京】インバウンド患者の不安を和らげ、診察時間は半減。コミュニケーションの課題を「VUEVO」が解決

更新日:2025-12-18 公開日:2025-12-18 by VUEVOマーケティングチーム

目次

プライベートケアクリニック東京 ご紹介

 日本を訪れる外国人の数は、増加の一途をたどり、2025年は9月までの累計で3,165万人となり過去最速で年間3,000万人の大台を突破しています(日本政府観光局「訪日外客数(2025年9月推計値)」より)。それにともない国内で受診する外国人も増え、言語の壁によるコミュニケーション課題を抱えている医療機関も少なくありません。特にデリケートな診察となる性感染症分野では、正確な問診とともにプライバシー保護や患者の不安に寄り添った配慮が求められます。

 性感染症の専門クリニック「プライベートケアクリニック東京」の新宿院では「通訳者の介在が患者さまの心理的障壁となる」「翻訳機の操作に時間がかかり診療時間の長期化が避けられない」という課題を抱えていました。同院は課題を解消するため、ワイヤレスマイクひとつで双方向の会話をリアルタイムで翻訳し、可視化する「VUEVO(ビューボ)」を導入。その結果「患者さまの気持ちを和らげ、診療時間が約半分に短縮された」と松村次郎院長(写真右)は語ります。30カ国以上の患者が訪れる同院で、言語の壁を越えた心に寄り添う医療を提供する、松村院長とスタッフチームリーダーの瀧本奈々さんに、VUEVO導入の経緯や効果について詳しくうかがいました。

 30カ国の患者が訪れるクリニック。言語の壁がもたらす診療現場の課題 

クリニックの概要と、来院される患者さまの傾向について教えてください。

松村: プライベートケアクリニックグループはクラミジア・淋病・梅毒・HIV/エイズ等の性病検査・診察を行う性感染症専門の内科として、東京・新宿・名古屋の3院を展開しています。新宿院では1日を通してさまざまな患者さまが多く来院されますが、約15%が外国人の患者さまです。女性は婦人科などを受診する傾向があるため、全体の患者さまの約7割が男性を占めています。

瀧本: 新宿の繁華街に近いこともあって、30カ国以上の国々・言語圏の方が来院されます。一番多いのは英語圏で、次いで中国語圏、最近はベトナムなど東南アジアの患者さまも増えています。新宿院では以前から、訪日外国人への診療を行う国立国際医療研究センターの医師が診察していることもあり、英語対応可能なクリニックとして認知されています。そのため、お仕事で在留されている方や留学生の患者さまが多いのですが、コロナ禍終息以降はインバウンドの患者さまが目に見えて増えました。

増加する外国人の患者さまとのコミュニケーションにおいて、どのような課題を抱えていたのでしょうか?

松村: 性感染症の診察では、デリケートな内容をうかがうことが多いため、プライバシー保護の観点から患者さま単独での診察を原則としています。つまり、患者さまの同伴者は通訳として診察室に入れません。そのため、通訳ができるスタッフを同席させたり、ハンディタイプの翻訳機を使ったりしていました。

 しかし、会話にワンクッションの手間があることで診察が長引くうえ、デリケートな内容を伝えにくいという問題がありました。通訳者と患者さまとの性別が違うケースでは、特に伝えづらくなってしまいます。また、ハンディタイプの翻訳機は、発言のたびに機械を確認するため、やりとりがとても煩雑でした。

 診察でのやりとりが長くなると、次の患者さまの待ち時間も延びてしまいます。顧客満足度を高めるためにも、診察時間の長さは解決したいと考えていました。

VUEVOを最初に知ったきっかけは?

松村: 当クリニックの理事長がテレビ番組でVUEVOを見て、「これを使えば、松村先生も診察がしやすくなるのでは?」と紹介してくれたのがきっかけでした。主要なスタッフでピクシーダストテクノロジーズのオフィスへ足を運び、VUEVOのデモを体験したところ、期待以上の感触を得られたのですぐに導入を決めました。

瀧本: 決め手はリアルタイム翻訳のスピードと、話者の会話を取りこぼさずに翻訳できる聞き取り性能でした。とにかくレスポンスが速く、翻訳機を使わずに話すのと同じスピードでやりとりができるのに驚きました。

診療のスタイルを変えた、リアルタイム翻訳と要約機能

導入後、具体的にはどのように使われているのでしょうか?

松村: 医師は電子カルテ用モニターとVUEVO用モニターを見ながら診察し、患者さまにはタブレットのVUEVOの画面を見ていただきます。会話と同時に、翻訳された内容をお互いに画面上のテキストで確認できるので、カルテの入力と診察を並行できるようになりました。

導入後に感じられた変化や効果について教えてください。

松村: 翻訳によるタイムロスがなくなったおかげで、今まで以上に丁寧に傾聴でき、説明にも時間を割けるようになりました。ホスピタリティーのある、心に寄り添うコミュニケーションを心がけるうえで役立っています。

 また、マイクの性能が高く、小さな声でもしっかり拾ってくれます。プライベートな内容をうかがうこともあって、声が小さくなってしまう患者さまもいらっしゃるのですが、VUEVOを使うようになってから、患者さまに聞き返す回数も減りました。

よく使われている機能はありますか?

松村: 非常に気に入っているのが、会話の要約機能です。診察後に会話全体の振り返りができるようになり、カルテに記載すべき内容の見落としも減りました。ハンディタイプの翻訳機では、個々の会話は翻訳できても、会話全体の内容を振り返るための作業が煩雑だったのですが、VUEVOは5分ごとに会話の要約をまとめてくれます。カルテの精度向上にもつながりました。

翻訳の精度についての印象はいかがでしょうか。

松村: 中国語に関しては方言によって発音や表現が違うので、翻訳を正しく読み取るのに苦労する時もあります。それ以外の言語ではあまり気にならないですね。コミュニケーション効率を高めるために、専門用語はなるべく平易な言葉に言いかえるようにしています。例えば、「処方」は「お薬を出す」といったような言いかえですね。また主語・述語が明確な「分かりやすい日本語」で話すことを徹底しています。発言をワンセンテンスで区切る、間投詞を減らすといった工夫もVUEVOの翻訳精度を高めるのに有効でした。VUEVOを使うことで相互理解のレベルを「だいたい理解し合えた」から「お互いにしっかりと理解できた」ところにまで高められるようになりました。

診察時間は導入前の半分に。クリニック全体のホスピタリティ意識向上という効果も

患者さまからは、どのように受けとめられているのでしょうか。

松村: 診察時に「最先端の通訳機です」と紹介すると、多くの方が「Very cool!」と笑顔になって打ち解けてくれます。VUEVOがあるだけで空気が和んで、診療しやすくなりましたね。不安を抱いて来院される方がほとんどですから、心理的な負担を減らすきっかけがあると話がしやすくなり、診察後に「Perfect!」と評価いただくことも多いです。

医療スタッフの視点からVUEVOの導入による変化は感じられましたか?

瀧本: 1人あたりの診療時間はこれまでの半分程度になりました。ハンディタイプの翻訳機と違って手を止めることなく、翻訳とカルテ作成を並行できるため、医師のオペレーションが1つ減らせたのが大きな要因です。その結果として患者さまの待ち時間も短縮され、顧客満足度や再来院率の向上にもつながっています。

 また、通訳者となる医療スタッフのアサインが不要になり負担が軽減したのに加えて、外国語を話せないスタッフの心理的な障壁が小さくなりました。外国人の患者さまに寄り添う気持ちはこれまでと変わりませんが、「外国語が話せないから、理解したくても限界がある」というマインドから「外国語が分からずとも、気持ちに寄り添う方法がある」という前向きな気持ちに、スタッフ全体のスタンスが変化しました。

 個人的な経験で、言葉がほとんど通じない留学先で急病になり、勇気を出して病院に駆け込んだことがありました。強面の先生が出てきて不安はピークに達したのですが、スマホの翻訳アプリを使って「どうしました」と聞いてくれた瞬間、「私の話を聞こうとしている」と分かり心の底から安心できました。当院に来院する患者さまも、きっと同じ不安を抱えているのだと思います。VUEVOを導入することで、話を聞く姿勢を示すサインになりますし、言葉の通じない海外で受診する不安を和らげられると、スタッフ一同が自信を持てるようになったと感じています。

最後に、今後の展望についてお聞かせください。

松村: VUEVO導入によって生まれた時間的余裕で、より丁寧なカウンセリングと理解促進に注力していきたいと考えています。これまでは時間的な制約で聞き出せなかった、文化的な理解につながるような話題にまで、診察時の会話を広げられたらと思っています。私も仕事が楽しくなりますし、何より患者さまも笑顔でお帰りいただけるようになりますからね。

 

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