【導入事例】「伝える」から「通じ合う」へ。VUEVOとVUEVO Displayが変えた医療の現場
更新日:2025-05-16 公開日:2025-05-16 by VUEVOマーケティングチーム
ひとひとケアクリニックご紹介
ひとひとケアクリニックは、「人人癒和(ひとひとゆうわ)」を理念とし、AI技術によるMRIを活用した脳神経外科・整形外科・内科の総合診療を展開。地域イベント交流、ネパール映画の上映会や多文化共生にも力を注ぎ、積極的な外国人患者受入れを通じ、多様な住民とともに歩む医療を実践している。
言葉の壁を越えて、医療に「安心」と「つながり」を。
中村様のこれまでのご経歴や、導入のきっかけについて教えてください。
20数年にわたり脳卒中や脳脊髄末梢神経外科の総合診療と約3,000例の手術を、高度急性期医療機関である大阪市立総合医療センター、脳神経外科専門病院である穂翔会村田病院などで経験してきました。
ここ大阪市生野区は日本で最も外国人比率が高く、80カ国以上の国籍の方が暮らす地域といわれ、近年は韓国・朝鮮だけでなくネパールなど多様な国・地域の方々が増加しています。こうした状況を受け、言語・文化の壁によるコミュニケーションギャップを解消し、患者さんに安心して医療を受けていただくため、「VUEVO(ビューボ)」ならびに「VUEVO Display(ビューボディスプレイ)」を導入することを決めました。
ひとひとケアクリニック 院長 中村 一仁様
聴覚障がいのある方や外国籍の患者さんとのコミュニケーションの課題は何でしたか?
うちのクリニックには、以前から外国籍の患者さんや聴覚障がいのある方が多く訪れていいました。その方たちとは、タイピングや翻訳機などを使って一生懸命に対応していたものの、常にどこかもどかしさを感じていまして……。
たとえば、聴覚障がいのある方とのコミュニケーション。これまではパソコンを開いてタイピングし、会話をするスタイルが中心でした。言いたいことを文字にする間に、間が空いてしまうんです。表情で伝えたくても、画面を見る時間が多くなってしまって。患者さんの顔を見る余裕もないんですよね。
外国籍の患者さんに対しても、同じような課題がありました。以前から翻訳機は使っていましたが、言語を切り替える操作や、話すタイミングを調整するのが結構手間なんです。患者さんもだし、私たちも“会話をしている”という感覚からはほど遠くて、ひとつひとつの言葉を確認する作業になっていましたね。結果、診察時間は通常の2倍、3倍になることもありまして。
だからこそ、テレビで「VUEVO Display」を見た時に「これだ!」と思ったのも覚えています。
コミュニケーションをスムーズに
VUEVOとVUEVO Displayはどのように使い分けていますか?
まず、受付ではVUEVO Displayを使っています。リアルタイムに画面上に会話が文字で表示されるので、受付での「はじめまして」のコミュニケーションに適しています。外国籍や聴覚障がいのある方が来院時に「言葉が通じない」と感じないように、そして、来院してから安心して診察室へ進んでもらえるようにしていますね。VUEVO Displayは“入り口の信頼感”をつくる存在になっています
また、VUEVOは主に診察室で使用しますね。使用言語の設定と話している人の話を正確に聞くためにマイクの方向調整を行います。そして、ノートPCとタブレットを併用することで「同じ画面を見ながらの会話」を実現できましたね。
VUEVOによって、伝達ミスが減少できましたし、私たちは話すことに集中でき、患者さんも安心して受診できる環境を整えることができました。
VUEVOとVUEVO Displayを使ってみてコミュニケーションに変化はありましたか?
VUEVOとVUEVO Display導入後、劇的に変わったのは「スピード」と「自然な会話感」でした。母国語がリアルタイムで翻訳されることで、今まで時間をかけていた“聞き取る工程”が一気にスムーズになり、これまでは2倍、3倍の時間がかかっていたところ、最終的には通常の患者さんとほぼ同じ時間で診察が終えられるようになったんです。それは単なる時間短縮ではなく、「診察の質を落とさずに、無理なく診察できるようになった」という点が大きいですね。
患者さんが見る画面。
VUEVOとカルテを半々で表示することで一緒に画面を見ながら診察ができています。
また、患者の“納得”や“信頼”も深まったように感じます。ある日、中国人家族で来院いただいた患者さんが、“大学病院に行きたい”と言っていたんですが、その理由が“もっと詳しく診てもらいたい”という不安だったんです。でも、その話をVUEVOでしっかり聞けて、こちらでできる検査や治療について丁寧に説明したら、納得して“ここでお願いします”と笑顔で言ってくれました。良かったのは、家族の皆さん同士の会話もわかるという点です。問診以外の本音の部分が知れるので、患者さんに合わせた対応ができますからね。そのご家族は、一度お帰りになったのですが、また戻ってきて追加でいくつか質問されていきました。聞きたいことをちゃんと聞ける場所だと思ってもらえたのが嬉しかったですね。
中村先生はタブレットで患者さんの翻訳を見ています。
聴覚障がいのある方への対応でも、“今日はどうされましたか?”という一言も、これまでなら文字を打って見せるだけでしたが、VUEVOなら患者さんの目を見ながら話して、それがすぐ文字で表示される。“顔を見て伝える”って、安心感につながります。「大丈夫ですよ」と画面に表示しながら、しっかり顔を見て伝えることで、患者さんがすごく安心した表情をされるんです。今までは文字を打つだけでしたが、VUEVOを使えば“目を見て伝える”ことができる。それだけでコミュニケーションの質が全然違ってきますね。
私自身、診察にじっくりと時間をかけるタイプなので、目を見てちゃんと会話ができるようになってとても満足しています。これは、魔法の機械だと思いますね。
今後の展望
これからVUEVOやVUEVO Displayを使っていきたい場所はありますか?
VUEVOとVUEVO Displayの活用は、クリニックの中だけにとどまらず、今後、関西で開催される外国人コミュニティ向けのイベントでも、使ってみたいと思っているんです。
その背景には、この地域にはさまざまな国籍の方々が暮らしていて、日常的な医療の相談先を見つけられずに困っている人も多くいます。その理由として、言葉の壁があるので、健康に不安を抱えたまま放置してしまうんですよね。でも、母国語で“気になること”を話せるだけで、来てくれた人の不安はグッと軽くなります。“言葉が通じるなら聞いてみよう”と思ってもらえることが、まず最初の一歩になるんです。VUEVOがあれば気軽に話せて、“ここだったら相談できる”という安心感をもっと感じてもらいたいですね。
最後に、VUEVOとVUEVO Displayへのご期待をお願いします。
患者さんが“ちゃんと診てもらえた”と感じて帰っていけること。それが私たちにとって一番大事なことです。VUEVOとVUEVO Displayの導入によって、言葉の壁が少しずつ解消され、誰もが安心して受診できる医療環境が確実に広がっています。VUEVO Displayという壁はあるのですが、心の壁は無くしてくれる。何度も言いますが、これは魔法の機械です。
また、医療現場におけるコミュニケーションは、“伝えること”以上に、“伝わったという実感”が求められます。VUEVOとVUEVO Displayは、その「実感」を生み出す力を持っていると感じています。
今後さらに、他のクリニックや地域でもその活用が進み、医療現場における“当たり前のコミュニケーション”の新しいスタンダードになっていくことを期待しています。
左から、ひとひとクリニック川田様、中村様、重田様、近藤様
ピクシーダストテクノロジーズ株式会社 佐治